勝利宣言された!

sirokaze氏というネット右翼の方と南京事件について議論していたらついにギブアップされたみたい。

http://srsa.jugem.jp/?eid=506

議論は単純。

南京事件FAQの中の「「20万都市で30万虐殺は不可能」論は欺瞞」という項があって、これは要するに「確実に20万であるということの根拠がなく、最大の見積もりで民間人のみ50万くらい存在していたという説もある」から「人口論だけでは30万虐殺が不可能であるとは言えない」という話なわけです。正確な人口など確証されたことがないのに、あたかも「実際に・確実に20万都市であった」ということを事実であるかのように前提として「30万人殺すことは不可能」と主張しているんだから、これは明確にインチキ・嘘・欺瞞等まあどう表現しても正しい表現なわけです。

もちろん「仮に20万人しかいなければ30万人殺すことは出来ない」というのはトリビアルに真なわけです。そんなことに誰も欺瞞なんて言わない。でも否定派が主張しているのは「当時実際に20万人しかいなかったから」30万人は殺せない、という主張なわけでこれがインチキだという話なのです。

それを何度も何度も指摘して差し上げたのですが…挙句の果てには「おまえ(しまうま)が30万人以上確実にいたことの証明をしなければ俺の勝ちだ」とか喚く始末。「不可能だ」という議論を否定するには「可能性がある」ことを提示すればそれで十分なのに。まあ是が非でも自分の「宗教」は疑いたくないという、強烈な信仰をお持ちということなのでしょう。

(まとめ)
「正確な人口など分かっていない」のに「20万しかいなかった→30万人は殺せない」と主張する人は例外なくインチキ論者です。

(参考)
ちなみに南京事件当時民間人のみ50万人説の根拠を示しましょう。

南京事件が始まる1ヵ月半前(10月末)に日本の特務機関が作った資料にこうあります。

南京市内公務員と軍人の身内の者は皆南京を離れて外へ避難しているため、人口は激減した。警察庁の調査によると、現在住民人口は53万あまりで、全て各政府機関の公務員、財産の移動ができぬ人々など、南京に最後まで居残らなければならない人々である

要するに一ヵ月半前から危機感があって逃げられる人たちはとっくに逃げてしまっており、残りは居残らざるを得ない人だけの状態だったという話です。

で。さらにその一ヵ月後(11月末)にこんな資料があります。今度は中国側の政府の見解です。

「調査によれば本市(南京城区)の現在の人口は約五〇余万である。将来は、およそ二〇万人と予想される難民のための食糧送付が必要である」

さらに一ヶ月間も猶予がありながらその間人口は全く減っていないということは、やはり日本の特務機関の見解「残っているのは逃げられない人たち」というのが正しかったという推測が成り立ちます。

さてこれ以降日本軍が南京市全体の包囲を始めるまで後数日間しかありません。逃げる手段はごく限られ(揚子江の輸送船は既に南京を離れてしまっていて残っているのは小型の民船ばかりで、それもチケットが高騰していて乗るのは困難を極めていたそうです)、さらに日本軍が南京への包囲網を狭めてくる中、近郊農村部から南京へ逃げてこざるを得なかった人たちもいたということを考えると、その後もそれほど人口全体は変わらなかったのではないかという推測は十分成り立ちます。

南京事件研究の第一人者笠原十九司氏は「最大で50万〜40万くらいいたのでは」と説明しています。さらに軍・兵士の数を合わせれば(30万人虐殺説は「民間人のみ」ではなく、「軍民合わせた」数字です)人口に関する数字だけで30万人虐殺説を「不可能」とすることは出来ません。逆に「可能性としてはありえますね」という話になります。

繰り返しますが「最大で50万人説」は推測・推定値ですのでこれが確実に正しいということではありません。あくまで史料が少なくて「正確な人口は分かっていない」のですから。ですが、「絶対に20万人しかいなかった』という人たちの根拠が全くないことも繰り返し強調しておきます。