愛の無恥

例の愚にもつかない提案「愛のムチ条例できないか」について

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080618-OYT1T00628.htm?from=navr
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080619k0000m010136000c.html


そのまんま東は、昨年の児童虐待被害件数が過去最高を記録したこと、加害者の多くが「しつけの一環」・「厳しく叱っただけ」=「愛のムチ」と弁明しているという事実、を御存じないのか、知っててしらばっくれているのか…。これは要するに「愛」があれば(もちろん外から観察は出来ません)容認されるなら、事実上児童虐待は野放しにすべしという話にもなってしまうんですが、それで良いと仰るわけですね。

というか戦後最高レベルに「おとなしいイイ子ちゃん」である今の子供たちに「リンチ」を加えてまで何をそんなに解決したいんでしょうかね?

さて別の角度から見てみましょう。

10年前のものですが「国連子どもの権利委員会」は子どもの権利条約批准国のモニタリングの結果を公表しました。さて日本の評価はどうだったでしょうか。

http://www.itoh.org/io/kenri/kankoku.htm

(1)プラスの評価をされた点

数少ない+評価の中にはこのようなものがあります。

・学校での体罰に関して出された質問に対して日本が「拷問禁止条約の批准を「現在検討している」と言明したこと」

そのまんま東の思い付きが実現された暁には容赦ない国際社会からの非難が待っていることでしょう。(ちなみに日本は拷問禁止条約に1999年に加入しており、これと愛のムチ条例が整合性を持つかも問われるでしょう。というか明確に違反していると思われます。)

(2)マイナスの評価をされた点

数多くあるので詳細は上記リンク先をお読みください。ここでは今回の件に関連する点を幾つか紹介します。

・条約を支える考え方が、社会に十分に浸透していないこと。特に権利条約が国内法に優位し、裁判所で直接適用できるにもかかわらず、裁判所で直接適用されることがほとんどないこと、学校のカリキュラムに人権教育が体系的に取り入れられていないこと。


そのまんま東には「法学」という政治家としての基礎教育も、人権教育も足りないようです。誰か彼に愛のムチを振るってあげる人はいないのでしょうか。代わりに僕が殴ってあげてもいいですけど。


・子どもに関する政策を計画するためには、正確で詳細なデータが必要。しかし、ことに障害を持った子ども、施設に収容された子ども、民族的マイノリティの子どもなど、傷つきやすい立場に置かれた子どもたちに関するデータや、性的虐待を含む、家庭内での虐待などに関するデータが不十分であることが指摘


児童虐待が過去最高を記録していてさらに暗数も相当にあると推定されているにもかかわらず、そのまんまは何にも考えていないようです。戯言にのみ目を向けるのではなく、現実に目を向けてください。


・子どものプライバシーが、家庭でも、学校でも、施設でも守られていないこと。プライバシーの権利を保障するために、法的措置を含めた対応をするよう勧告。
・学校だけでなく、家庭や施設においても、体罰や虐待が行われていることが指摘、家庭や施設での体罰を禁止する法律を作り、子どもの人間の尊厳をそこなわないようなかたちで、しつけや規律の維持が行われるように、意識啓発キャンペーンを行うことが勧告。


学校での体罰・家庭内での虐待の禁止・防止策を講じることに関しては2004年の第2回勧告でも引き続き努力を求められています。「愛があればLove is O.K.」とか抜かして、全てをうっちゃろうとするそのまんまなナイーブさには呆れ果てます。


そのまんま東が後輩に暴行を働いたことは有名ですが、「いまだに」人を殴りたいんですね。宮崎県はリンチが正当化される県にしたいという欲望、あの事件での非難は不当だったという怨念のなせる言動でしょうか。